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さて、続きましてはbパート。
陽動部隊となった数名の運命はいかに。
って感じで。
さて、一方その頃――。
「……おかしいなぁ」
黒部・貴也(中学生魔剣士・b08272)はこれで何度目になるか判らないメッセージ預かりサービスを聞いていた。そして、最後まで聞かず、携帯電話の通話をオフにする。
「どうかしましたか?」
共に陽動班として彼と共に待機している冴島・遼二(高校生ファイアフォックス・b01359)が問いかける。
ちなみに、陽動班は彼ら二人に加え、今は離れたところに待機している狩谷・真司(中学生青龍拳士・b05491)の三人で構成されていた。
「突撃班が門から中に入ってしばらく立ったけど動きがねぇ。会談が叶ったら連絡をする、と言う話だったのにな」
「……まぁ、返事がないのは良い返事と言う言葉もありますが……」
よもや、武装解除の名目で携帯電話が芦夜預かりになったいるとは知らず小首を傾げる貴也に、遼二は警戒した視線を周りに張り巡らせながら、呟く。
もちろん、最悪の事態を警戒し、二人とも小声だ。
「何か不測の事態があって連絡が出来ないのかも知れませんね」
「不測の事態?」
「ええ」
例えば、だ。
ゴーストが現れれば通信障害が起こる。だから、ゴーストが活動している間は携帯電話を始めとした通信機器を使用することは出来ない。
これは銀誓館学園に通う能力者であれば常識と言っても良い話である。
同じことが芦夜宗家の中で起きても不思議ではない。
二人とも、今まで何度か修羅場をくぐっているものの、実に能力者やそれに準じる存在と相対するのはこれが初めてなのだ。
自分たちの"常識"がどこまで通じるのか、判らないことの方が多いのだ。
「……もしも、ですよ」
「ああ」
「恋月さんの家が恋月さんの言う通り、一筋縄じゃないとして……彼らは能力者だと思いますか?」
「芦夜家宗主とやらが、か?」
それは杞憂だろうと貴也の弁。
「恋月は"一族で初めて能力者になった"存在だ。本人の言葉だぞ」
「ええ。確かにそうですね」
そう。
銀誓館学園にもそう登録されているはずだ。
……だがそこに何処か引っかかりを憶えるのも事実である。
恋月からのメール――宗家で障害になりそうな存在は40人。その半数は能力者である――が正しいとするならば、芦夜宗家も規模は小さいながら銀誓館学園と同じく、能力者の益になる、もしくは能力者を引き継げる何かがあると言うことになる。
もしも本当に芦夜宗家が普通の人間ならば、それを用意することが出来るのだろうか?
(……考え過ぎですね)
頭を振り、視線の先にある屋敷を睨み付ける。
今の自分たちの仕事は友人の芦夜恋月を助けることだ。今は順調に行っているかもしれないがいつ何時、事態が急変しないとも限らない。
その時こそ、自分たちの出番なのだから。
* * *
さて。
貴也が恋人の玉依・美琴(中学生符術士・b11621)に何度目になるか判らないコールを続けていた頃。
狩谷真司は彼らから少し離れた木の上に立ち、芦夜宗家を見下ろしていた。
偏執的に高い門に阻まれ、敷地内を伺うことは出来ないが、それでも動きがあれば地上にいるよりも判りやすい。
その目論みの元、彼はその位置を陣取り……今回はそれが功を奏した。
門から出てくる十数人程の人間。
それぞれが武器を持ち、鎧や戦装束と思しき服装で身を固めている。
まるで、イグニッションをした能力者のようだ、と思った。
(……大変だ)
こんな夜遅く、狩りと言うことは無かろう。
銀誓館学園の人間ならば時々依頼に『夜に現れるゴーストを倒せ』と言うものがあるが、同じ事を期待する理由はない。
それに今、同様のことが芦夜の家に起きたとするならば。
(……当然、狩りの対象は……)
さて。
そのことを知ったのは自分にとって――自分たちにとってアドバンテージになるのだろうか?
正義の味方を名乗る集団の長は一瞬だけ思考を巡らせる。
その後の決断は早かった。
* * *
宗主代行。
そう呼ばれた男――芦夜家宗主代行、芦夜博紀は抜き身の日本刀を高く掲げ、声高に宣言する。
「さぁ、芦夜の時間を始めるとしようか!」
芦夜日和が宗主として芦夜を繁栄させることを使命とするように。
芦夜恋月が狗として、猟犬にも番犬にもなることを生き方とするように。
彼もまた、芦夜としての役割があった。
芦夜の剣として外敵を斬ること。
「応!」
その宣言に、高揚した声が還ってくる。
敵は月影楼。
年若き能力者達で構成された結社にして、芦夜恋月を奪いに来た芦夜の敵。
それを防ぐことは芦夜にとって、戦うべき理由であった。
「狐狩りの時間だ」
満月がそんな彼らを見下ろし、儚げに輝いていた。
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